探究する心

「問う」力をつける、探究型の学び

中学時代という大人の入り口に立った年齢で学ぶことの意味を知り、学ぶための方法を身につけることは、長い人生を深く豊かに生きていくために必要なことです。
教科学習の枠を越え、「知りたい」と思うことを「問い」にして、オリジナルの「答え」を構築していくのが「探究科」の活動です。1年次5月から2年次12月までの約1年半の期間、週1時間の正課授業の中で取り組みます。最初はまず、考え方の基礎や探究のための技術を学び、ゼミ課題を通して探究の方法を習得し、最後は各自がテーマを定めて個人探究を実践します。

小学校時代の調べ学習や実験レポートとは異なり、「探究科」において自らが設定する「問い」に対しては、あらかじめ決まった道筋や「答え」があるわけではありません。未知の道筋において、生徒は模索しながら自ら学ぶ態度を身につけていきます。自分の興味・関心を「問い」という形にし〔問う力〕、情報の収集や分析、批判や検証を行って深め〔探究する力〕、そして「答え」を導き出し他者を納得させることのできる表現力〔訴求する力〕をもってまとめること、その過程のすべてにおいてオリジナリティーが必要です。「思考力」「判断力」「表現力」など、これからの時代に必要とされる力が備わっていきます。

「問う」力をつける、探究型の学び

未来の社会への視点

個人探究のテーマは、単に自分の好きなもの、知りたいことを探究するにとどまらず、探究したものが、「社会の誰かのために役立つものになるか?」という視点を必ず加えることになっています。中学生の時代から社会そして世界に目を向けていくことが、未来を担う世代には必要です。近年のテーマにはSDGsの視点を持つものも増えてきました。

「学び」の質的な転換と将来のキャリアへの視点

与えられたものを学ぶのではなく、自分の興味・関心から発した事柄を探究する「学び」は、たいへんな作業をともなうものではありますが、それは楽しいことでもあります。学びたいことを自分で決める、「学び」を達成するためにさらに必要となる「学び」を求める、納得のいく「答え」を出し自由に表現する、友達との切磋琢磨で高め合う。このように探究の過程で「学びの質的な転換」が内面に生じていくことも「探究科」の意図とするところです。

また、生徒が興味・関心を抱く事柄には将来に向けての「芽生え」が含まれていることがしばしばあります。生徒が探究科の最終段階である「実践」で設定するテーマのジャンルは、自然科学系、人文・社会科学系、文芸、絵画や造形、映像や音楽の創作活動など自由。たとえば「人や物の動きに関心がある」、「ものづくりが好きだ」、「データの分析から見えてくることが面白い」など、活動を楽しみながら自分の関心の向く方向を確かめる機会を得て、高校以降の進路の方向性を持つ生徒もいます。

図書室の活用、アドバイザーの存在

15,000冊以上の蔵書のある図書室もフル活用していきます。司書教諭が生徒からの相談にのり、探究するテーマに関連する蔵書を紹介したりもします。
活動の指導には「探究科」担当教員の他、専門分野を指導する専科教員がアドバイザーとして加わり、進み具合を確認し完成までの助言をします。ただし基本的には生徒各自がオリジナルの「答え」を目指して主体的に進めるので、教師はあくまでもアドバイザーです。

未来の社会への視点

「学び」の質的な転換と将来のキャリアへの視点

探究科の流れ

1.入門(1年次5~6月)

1.入門(1年次5~6月)

「探究」の準備期間です。まず「学び」を支える「考え方」や「方法」の基礎を、一斉授業の形態で学びます。主には情報の収集法とその整理の仕方、表現するための手順について、「探究科」担当の教員がオリジナルテキストを使用して講義します。

2.基礎(1年次7月~11月)

2.基礎(1年次7月~11月)

専門分野のゼミ課題を通して「探究」のプロセスを身につける期間です。ゼミの分野は自然科学、人文・社会科学、創作(文芸・美術・音楽)で、専門性のある教員が担当します。各自が希望するゼミに所属して、実験・実証・フィールドワーク・創作などの活動を通して、課題に対するアプローチの方法を実践的に学びます。必要な「情報」の収集、検証、分析を繰り返す中で、「情報」選択の力も養われます。
この期間はいわば「教えてもらう」ことが中心になる一方、少人数ゼミ内の友だち同士で批判と検証も行います。アドバイスをしあう中で、新たな視点を発見できるでしょう。
11月の学園祭においては、全員がゼミ課題の成果を展示発表します。

3.実践(1年次11月~2年次11月)

3.実践(1年次11月~2年次11月)

いよいよ個人探究に入ります。探究のタネは、日常のちょっとした疑問点や興味にあります。それらについて「調べ学習」の段階を越えて、オリジナルの「問い」へと発展させていくことがスタート地点です。そして入門、基礎の期間に学んだプロセスをもとに、各自がテーマや課題に主体的に取り組み、アドバイザーの先生は進行の確認や専門的見地からのアドバイスを行います。定期的に、同じ分野の少人数グループやクラスで中間報告会を行います。テーマや課題を成果物として仕上げるだけでなく、プレゼンテーションを行うことで、より訴求力のあるまとめ方を工夫していくことになります。11月の学園祭では全員が展示発表するとともに、代表生徒がプレゼンテーションを行います。

学年に対応したオリジナルテキスト

スケジュール