小学校の治療教育
(自閉症児の教育)

 小学校では身辺の自立をいっそう確かなものにし、生活自立の基盤を培うことと、新たに加わる教科学習による知的成長の促進を目標としています。

☆生活自立をめざして

 生活面においては基本的生活習慣を身に付け、さらに自主性を養うと共に体力作りにも力を入れて指導しています。教科学習においては個々に応じた目標を設定し、学習トレーニングを進めながら目標の達成を目指しています。生活・学習面とも、一つひとつの目標を確実に達成していくことで、生活基盤の土台作りを行っていきます。

☆クラス編成と指導形態

 A〜E組といったアルファベットによる表示となり、自閉症児のクラスは1学年3クラス(CDE組)となります。1クラスの人数は8〜10名の学級編成となり、1クラスに1人の担任が朝の受け入れから下校まで指導にあたります。また、各学年とも3クラスに1名の割合で体育・音楽・図工等専科が副担任として入り、給食時や登下校時の着替えなどにおいて補助的な役割を担っています。

☆知的開発から学習指導へ

 1年生の初期は、幼稚園の延長としての知的開発トレーニングで集中力をつけさせながら文字の指導に入っていきます。その後、教科書や独自の冊子を使い、一斉指導と個別指導を組み合わせて行っています。一斉指導では基本的な学習に取り組む姿勢を身につけたり、教科書や冊子を全員で音読したりなど、集団への適応力も身についてきます。個別学習では、個に応じた教材やプリントを使い弱点強化を図り、時期を見て計算・漢字のトレーニングに入り、独自の教材を使い進めていきます。。

 国語、算数、ことばの学習は学年ごと、子どもの力に応じた3つの班に分けた習熟度別学習を行っています。1年生は学習体制を整えることと担任とのコミュニケーションをしっかりととる必要があるので、9月から開始します。2〜6年生は完全に習熟度別学習とし、一人ひとりが各班・個々の目標に沿って学習を進め、定着を図っています。

☆「ことば」の指導と劇発表

 言語力やコミュニケーション能力を高めるために週に1時間「ことば」という授業を設け、習熟度別学習を行っています。「ことば」の獲得からマッチング、認知、活用、コミュニケーション、マナーなどや、生活の中で生かせるよう体験を通した活動も取り入れて、各班、児童に応じた指導をしています。また毎年の学園祭では学年ごとに劇の発表を行い、「総合的な表現活動」として、言語力にとどまらず表現力の向上も図っています。

  

☆体験学習を重視した「生活」の学習

 小学校時代には様々な体験や経験が生活や興味の幅を広げていくものと捉え、6年間を通して「生活」という教科を設けています。1,2年生は主に「生活科」の教科書に沿った題材を扱い、3〜6年生は、理科的分野・社会的分野に分け学年に応じた題材を扱っていくとともに、買い物実習や調理実習を定期的に行い、生活スキルの獲得、向上を目指していきます。主な内容は以下の通りです。

・季節の行事(新しいクラスに慣れる、校外学習や行事の日程や確認など)

・植物の栽培(1年生・あさがお、5年生・稲作など学年ごとに植物の栽培を行い、観察記録を記入し、実りや収穫を体感させていきます。)

・買い物実習(3〜6年生・小学校近くの商店、ストアー、北原記念館1階にあるチャレンジショップにおいて実際に買い物を行うことで品物選びから支払いまでのながれを正しく覚えていきます)

・調理実習(5,6年・おにぎり、ホットケーキ、ゴーヤチャンプルなど学年に応じた調理に取り組み、調理器具の扱い方や調理方法を学ぶと共に衛生面にも気を配れるようにしていきます)

  

☆体力づくりと運動機能の伸長

 情緒の安定や総合的な運動機能を伸ばすため体育的な指導を日々行っています。年間を通しての集団行動、持久走、水泳、時期ごとの鉄棒運動、縄跳び運動、球技運動などが体育のカリキュラムに位置づけられています。また、1〜3年生では、バランス教材として自転車・ホッピング・ローラースケート(ローラーブレード)・バランスボード・竹馬・一輪車、4〜6年生ではボール運動、跳び箱、マット運動を取り入れています。冬には1〜3年生はアイススケート、4〜6年生はスキーを校外で行っています。体育の授業は体育専科が主たる指導を行います。

☆感性の教育

 感性を豊かにする音楽・図工の指導にも力を入れています。落ち込んでいる部分をトレーニングで引き上げていくとともに、際立った才能をより伸ばしていくことも念頭において指導しています。

音楽の授業では、発声練習を含めた歌唱練習の他、低学年で鍵盤ハーモニカ、高学年でソプラノリコーダーを器楽の教材として用い、週2時間の割合で音楽専科が主たる指導にあたります。年に2回、音楽発表の機会を設け、音楽の楽しさを味わわせながら豊かな表現力を身につけさせていきます。

 図工の授業では、絵画トレーニングによって模倣力をつけ、写生、創作へと導きます。また、ハサミ・のり・カッターなどの道具を扱う練習をしながら、造形による表現力を養います。図工の授業も週2時間の割合で、図工専科が主たる指導にあたります。

☆宿泊学習

 5月と10月の年2回、1.2年生は山梨県ゆずりはら青少年自然の里において1泊2日の宿泊学習、4〜6年生は山梨県南アルプスチロル学園にて2泊3日の宿泊学習を行います。着替えなど身の回りのことがきちんと行えるようにするとともに、ハイキングなどを通し友だちや教師と生活する楽しさを知り、「自分のことは自分でする」という基本的な生活習慣を身に付けさせていきます。さらに4〜6年生は3月に長野県白樺湖において2泊3日のスキー教室を行います。スキーの技術の向上はもとより、集団活動において周囲の状況を考えて機敏に行動できるよう意識させていきます。

☆家庭との連絡

 日々の家庭・学校の様子、伝達事項などはプランノートや連絡帳にて学校と家庭の連絡を密に取り合っています。4月・7月・12月・2月の個人懇談(AGE懇談)では、子どもの個人目標を「生活面」「言語・コミュニケーション」「社会性」「行動面」の領域に分け、具体的に設定した目標および到達度の評価を書面にして保護者に手渡します。個人懇談のない月は月1回、放課後に担任と保護者との懇談を設け、日々の様子や伸びたところ、課題などについて話し合いを行います。また、年度末には子どもの1年間の様子を記録し、保護者に配布します。

☆一人通学に向けて

 小学校では、一人で登下校が出来るようにするために、一人通学の練習をしています。信号の練習や横断歩道の渡り方、電車・バスなどに乗る練習を重ね、安全を確認し、担任と相談しながら個々に応じて距離を延ばしていきます。

☆小学校の混合教育

 個々の学習の習熟度や大集団における適応力に応じて、特定の教科や活動のみを健常児と一緒に行ったり、学校生活の一日を通して健常児クラスで過ごしたりする混合教育を取り入れています。混合の度合い(週時間配当など)は定期的に検討し、個々の目標に応じて柔軟に対応しています。

☆混合のための環境

 3〜6年生においては健常児の教室と隣り合う教室配置となっており、休み時間など健常児と自閉症児がごく自然に過ごしている場面が数多く見受けられます。自閉症児は少人数のクラスに籍を置き、健常児と学習や諸活動などさまざまな場面で交流を行っています。昼休みのあとに行う縦割り清掃では全校児童を縦割りにし、みんなで協力して掃除をしています。また、体育祭では学年競技を行い、健常児と自閉症児が協力し助け合っています。

☆ともに生きていく(障害者理解教育)

 毎学期の始めには、「ともに生きていく」という時間を設けて、健常児クラスの児童向けに自閉症児クラスの担任が授業を行っています。1,2年生では、お互いを知り仲間意識をもたせ、お互いを認め合うこと。3、4年生では障害のある人の暮らしなどにも目を向けさせ、障害という「個性」を理解させ、つきあい方や思いやりを育てていきます。5,6年生では、より理解を深め自分たちに何が出来るのかを考えさせています。


 本学園の教育センターでは、どなたでも受講できる1〜6年生を対象とした自閉症児のための「療育プログラム」(有料)を実施しております。このプログラムは年間を通して随時行なわれています。詳しくは教育センターのホームページをご覧ください。



「生活療法」へ戻る

幼稚園の治療保育へ

中学校の治療教育へ

高等専修学校の治療教育へ

自閉症教育を中心とした
見学会