武蔵野東学園広報 第53号
2019年 3月8日発行

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  「心の働き」を大切にして育てていくこと

武蔵野東第一・第二幼稚園 園長 加藤篤彦

目  次

 P.2 幼稚園
 P.3 小学校
 P.4  中学校
 P.5  高等専修学校
 P.6  教育センター
 P.7 学園総合
 P.8 お知らせ

    『東だより』 バックナンバー

 社会は驚くほどのスピードで変化しています。そのため幼稚園児が大学を卒業する頃には、今は存在しないような仕事が、数多く生まれるだろうと言われています。変化の激しい社会では、想定外な新しい課題が次々と出てくるので、学校教育においても「自分で考え、仲間と共に、よりよく課題を解決する力の育成」が求められるようになりました。
 「21世紀型スキル」とも呼ばれるこの能力を伸ばすためには、知識や技能の習得のみならず、心の働きが大きく関わっていて、その心は幼児期に伸びる力として世界共通に認識されています。さらには、この心の働きを「目標の達成に向かう力」(自己制御・目標への情熱・根気など)、「他者と協力する力」(社交性・思いやりなど)、「自分の気持ちをコントロールする力」(自信・楽観性など)などの観点から捉えるようにもなりました。
 では、幼児の心はどのように育まれるのでしょう。
 まず大切なのは、「安心」と「安定」が保障されていることです。それは幼稚園(学校)の先生との出会いから既に始まっています。家族はもとより、幼稚園の先生が自分を「大切にしてくれている」と実感することで、幼児の心情が安定するからです。安定があれば、幼児の興味や関心は外の世界に広がっていきます。幼稚園で出会う「ヒト」(先生や友達、出会う方々等)や、「モノ」(素材や道具等)や、「コト」(家庭や園や社会の出来事、行事等)に触れて、「面白い」「もっとやりたい」「こうすると、どうなるのだろう?」さらには「もっと縄跳びが上手になりたい」「割れない硬い泥団子を作りたい」など、自分なりの目標を持って頑張ろうとすることから、(先に示した観点からの)様々な心の働きが成長していくのです。
 武蔵野東幼稚園では半世紀前の創立期から「混合教育」という、自閉症児がいつも共にいる園生活環境を作り出し、その中にあって「みんななかよし」「すなおなこころ」「こんきのよさ」という心の育成を目指してきました。様々な幼児同士が園で出会い、つながって、仲良くなっていく中で、それを喜びとして感じる心を育てていますが、このような心の働きの育ちは、真に課題を解決していく力の土台となるものです。寺田理事長はかねてから、この学園の教育の重要性は必ずや広く教育界に認められることになるだろう。「混合教育」の実態をしっかりと世間に伝えようと、常々教職員に語りかけています。
 学園の園児、児童、生徒達が共通して身に付けている、この「心の育ち」の土台にあるものは、さらに広い視野から眺めれば、実は保護者の皆様の「混合教育」で育つ心に着目されて学園をご選択くださった見識のもとにあるのだと、思い至るのです。
 本年が充実した一年となりましたのも、まさに皆様の温かいご理解とご協力があってのものです。ありがとうございました。

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