武蔵野東学園広報 第35号
平成22年(2010年)12月17日発行

180-0012 東京都武蔵野市緑町 2-1-10
Tel. 0422-52-2211㈹ Fax. 0422-53-1090
http://www.musashino-higashi.org

 学園ホームページへ

  学園を創り上げていく原動力になって

武蔵野東教育センター所長 長内博雄

目  次

 P.2 幼稚園
 P.3 小学校
 P.4  中学校
 P.5  高等専修学校
 P.6  教育センター
 P.7 学園総合
 P.8 お知らせ

    『東だより』 バックナンバー

 この11月に催された創立46周年記念の学園祭は、開園時以来子どもたちの教育活動の一端を保護者の皆さんなどに披露しながら、全学園を挙げてにぎやかに祝い楽しむ行事になっています。本年も保護者の皆様には多大なご協力をいただき、ありがとうございました。
 学園の歴史を改めてふり返ってみますと、今さらながらに濃い密度ですすんできたことを感じます。財源があるわけでなく熱意のみを原動力として、次からつぎへと学校が設立されていったプロセスには、「よくぞまあ」と思えるほどの奇跡のようなできごとが積みかさなっています。国有地の貸与により設立された小学校。校舎が建ち上がらないままに学校認可を受けた中学校の設立。どちらも「本来ありえないこと」とは、当時お役所の方から言われたことばでした。
 こうしたなかで、学園の一大特徴である混合教育が、一般の学校では見られなかった時代に築かれ推進されてきました。この混合教育は、まさにこれからの時代に求められる教育のひとつの姿を、社会に提示したと言っても過言ではないでしょう。また国内で自閉症教育をきり拓いたばかりでなく、学園の教育を海外にまではこびました。このように困難のなかを乗りこえて、新しい教育を進展させていく学園の激動を伴うすがたは、キヨ先生の人生そのものとかさなっています。その不撓の精神力、教育にかける情熱、子どもたちへの愛などは、時間空間をこえ、ものごとを創造する力となって作用し、周囲の人びとに影響をあたえてきました。これまでに学園にかかわった教職員も保護者も子どもたちも、そのエネルギーに何かを感じて集まってきた一人ひとりです。私たちは、見えはしないが確実に存在しているそのほとばしるような熱意やあたたかい雰囲気に感化されたり、また周囲に影響をあたえたりして学園をつくってきた共同創造者のひとりでもあります。学園誕生とともにあたえられ、多くの人に育まれ方向づけられてきた、キヨ先生由来のすばらしき武蔵野東学園のDNAを、この先いつまでも失わないようにしたいものです。
 さらに、人間の身体が健康を保持するためにたえず行っている新陳代謝の必要性は、教育においても例外ではありません。教育におけるそれは、カリキュラムの見直しや新しい教育プログラムの創設、さまざまな教材の取りくみなど、大きなこと、細部にわたることが限りなくあります。
 学園の変遷を見ていますと、時の移り変わりにともない、各園校それぞれにさまざまな教育活動が生みだされてきていることを実感します。科学するこころや地球環境的なこと、国際交流的なことなどに視野をひろげる取りくみがなされたり、土にふれ農作業を体験する場をもうけたり、自己の内面に向き合わせ、職業観をやしなう機会を増やすなどして、子どものこころを耕し、能力を伸張し、生徒の主体性や自立をうながす活動が展開されるようになりました。また自閉児の職場開拓の進展も目をみはるものがあります。こうした教育活動の進展には、保護者の皆さんの支援の高まりも大きな役割を果たしており、教育活動に深みと味わいをあたえています。
 私の所属する教育センターも、年をかさねるとともに規模が大きくなってきました。その性格上、教育センターには学園の各園校とは多少違った試みが出てきています。体育教室、コンピュータ教室などと教育の中味を個々に分けて募集したり、新しい視点からのプログラムをはじめたり、教材においても細分化、視覚化あるいは動画化したりして提示の仕方を変えてみるなど、図らずもこれまでと切り口の違ったものが生まれてきました。こうした教材を現在は小学校とも共有して使っていますので、学園への還元にもなっていると考えています。
 学園の絶えまない発展のためには、日々実のある新陳代謝が行われていく必要があります。創立50周年を数年後にひかえていますが、武蔵野東学園が生きている細胞体であることを改めて認識し、縁あってより集っている私たち皆で、内から自ずと光り輝くような学園を創り上げていきたいと思います。

    次のページへ(幼稚園)