武蔵野東学園広報 第28号 【オンライン版
平成20年(2008年)7月17日発行

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 『高等専修学校』と言う学種への理解のために

武蔵野東技能高等専修学校 校長 清水 信一 

目  次

 P.2 幼稚園
 P.3 小学校
 P.4  中学校
 P.5  高等専修学校
 P.6  教育センター
 P.7 学園総合
 P.8 お知らせ

    『東だより』 バックナンバー

  ご承知のように、現在、武蔵野東学園には幼稚園、小学校、中学校、高等専修学校が設置されており、今年度は1,700人の子どもたちが学んでいます。そして、幼稚園、小学校、中学校は学校教育法の第1条に規定される学種でありますが、学園内にあって高等専修学校だけは同法の第124条に規定されている学種であります。それは、学校教育法が生まれた時に存在しない学種であったからです。
このように、高等専修学校は学校教育法の第124条に規定される学種と言うことで、第1条に規定される「学校」の中に入っていないことから、多くの格差(約500項目)の中で学校経営を余儀なくされています。代表的なものとしては、本学園の保護者の皆さんにもご協力頂きました『署名活動』の補助金の問題があります。この様な格差が実際に存在していても、実際には、本校を見てお分かりのように、学習、行事、部活、進路等とすべてにおいて高等学校に何一つ遜色はありませんし、高等学校では出来ない教育を行っているのが高等専修学校であるとも言えます。
この様に、高等学校と高等専修学校の横並びの学種の格差是正のために、教育基本法の改正時を好機と捉え、学校教育法の改正を全国協会の重点目標に掲げ、現在運動を展開しているところであります。 
 次の文章は、卒業文集制作委員長を務めたある生徒の編集後記です。この生徒は小学校より不登校が始まり、中学校3年間のほとんどを相談学級で過ごし、本校への入学を契機に3年皆勤を成し遂げ、一浪したものの大学を無事卒業し、現在社会人として頑張っている卒業生です。


 この文集のテーマ『未来』は、武蔵野東技能高等専修学校で頑張ってきた3年間をいかに活かしていこうかといったものが感じられます。つまり我々○期生はこの学校が大好きになったし、未来も明るいものを考えられるようになっています。でも3年前はどのように感じていたでしょうか。 
 この武蔵野東技能高等専修学校を受験しようと思ったとき、皆さんはどんなことを考え、どのように決断したでしょう。 
 この学校は高等専修学校ということで高等学校ではありません。そのことをまず初めに悩んだのではないでしょうか。 
 高等学校ではないということは、周囲や親戚や友達から高校にいけないから高等専修学校に行くことになったと思われるのではないかと不安を抱いたはずです。高校と同等という言葉は中3の時の私たちにとってなかなか信じられないものですし、今でも高等専修学校について正しく理解をしてくれる人は少ないと思います。私はそのことが、この学校で3年間過ごしていてとても悔しいのです。 
 この学校には人を傷つけたりする人はいません。先生方はみなさん熱心ですし、先日、進路の先生から話があったように就職率が100%です。この不況の中で100%というのは私たちの学校の誇れるものの一つです。また、進学に関しても他校と比べてもなんの遜色もないものだと思います。 
 そこで私は胸を張って言いたいのです、『高校と同等ではなく、この学校は生徒も先生も、雰囲気も伝統も、就職も進学も、他の高校以上です。』 
 しかし、私だけがそう思っていても仕方がありません。私たち卒業生が、この先、どんどん社会で貢献し、高等専修学校というものを世界的にアピールしていかなければならないと思います。ですからこの文集『未来』は、私たちのこれからの努力を象徴するものだと思います。 
 今後さまざまな壁にぶつかるかも知れません。そんなとき、この文集『未来』を開き、この学校で頑張ることのできた3年間を思い出してほしいと思います。」


 このような格差は、学校だけでなく、子どもたちの心の中にもあるのです。 
 だからこそ、我々教員は頑張らなくてはいけないのです。 

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