武蔵野東学園広報 第16号 【オンライン版
平成16年(2004年)7月9日発行

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  「心の教育」で思うこと
              
小学校・中学校校長 石橋 恵二

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 6月に佐世保で起こった小学校6年女児の事件は、またしても私たちが考えもしなかったことで、ことばを失いました。被害にあわれた女の子のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の方々には心からお悔やみ申し上げます。
 事件翌日からコンピュータやテレビゲームによる弊害、社会や教育の荒廃が言われ、その原因追求と責任が新聞やテレビにあふれかえりました。街頭インタビューに答える人々は「今どきの子どもがわからなくなった」とか「今の社会をつくった大人が悪い」と言っています。こうした事件があると必ずこのような報道となり、今の子どもたちがおかれている環境のことや、原因追求になります。しかし、そうしたことよりも教育現場にいる私たちは、もっと現実を直視し、もっと日常的で具体的な対策としてどんなことをすればよいのかを考えます。そうしなければ目の前にいる子どもたちに何の変化も進化もないことを私たちはよく知っているからです。
 今回のことは本学園の小・中・高の各クラスのホームルームでも話題となりました。その中で、人の命はどんなことがあっても優先され尊重されなければならない(中2)、チャットという相手の顔が見えない中での会話はよいとは思わない(小5)、などといった声が聞かれました。クラスによってはずいぶんと深く話し合ったところもあります。けれどもこの事件を話題にしたからといって「心の教育」をしたと私たちは考えません。
 昨年7月に放映されたNHKスペシャル「こころの二人三脚」は大きな反響を呼びましたが、寄せられた感想の中に「子ども同士のバディを通して、心の触れ合いや葛藤があり、お互いが力強くメキメキと生きる力を発揮しはじめる。教育の原点を教えていただいた。」「現代社会のゆがみの中、心の傷を負う子どもたちが増えています。貴校の取り組みは日本中の教育者に見てもらいたいと思いました。社会を構成する我々も何故貴校の生徒さんのように他人を思いやれないのか。3人の子を育てる親として、子どもの心の教育に大切なヒントをいただいたような気がします。」というものがありました。私は、視聴してくれた皆さんが、武蔵野東学園で実践されている心の教育と人間教育を深く感じとってくださったのだと思いました。東の教育には、自閉児と健常児のかかわり合いから双方の磨き合いがあり、共に励まし合いつつ互いの心を癒し、人間としての優しさを表出させる混合教育があります。他にも日記やプランノートによって教師と子どもあるいは親との日々の心のキャッチボールがあり、教師の一人ひとりを観察し何か予兆なるものがないかを見る目や細やかなことばがけがあり、さらには教師と親との強い連携と信頼があります。心の教育は単発的な授業で徳目を学ぶものではなく、こうした心の触れ合いによる毎日の営みによって展開されていくものなのです。
 先日、小学校の子どもたちが交流で中学校にやってきました。中学生はどの生徒も目線を下げて、小さな子の顔の近くまで寄って話しかけていました。接し方などは誰に教わったことでもないのに、まるで今にでも父や母になるかのごとく包容力をもった存在に見えました。また、健常児は自閉児とかかわる時、彼らを障害をもった子という特別な感情はもっていないように見えます。むしろ、一人の「友」としてのつき合いをしています。武蔵野東は人がもっている優しさが素直に出る学園なのです。私たちはこの学園の教育に誇りをもちつつも、決して自信過剰にならず、いつも教育の本道と人間としての在り方を追究して正面から子どもたちの教育にあたっていきたいと思います。そして、卒業していく子どもたちが「友愛」という学園の教育理念を胸に刻み、豊かな心をもった真の国際人としてはばたいていけるように精進をかさねていきたいと思います。 写真:“CAN DAY”にて 一緒に綱引きをする小・中


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