辛抱強い付き合いを

Heart to Heart(第3号)平成19128日発行

 本年も残り少なくなってきました。月日の経つのが速く感じられる昨今ですが、保護者の皆様にとってこの一年間を振り返ってみた時に、子どもたちの変化、成長もそれぞれに大きかったのではないかと思います。

 子どもの成長は、たとえ健常の子どもであってもなかなか親の思い通りにならないものです。発達につまずきのある子どもの場合は殊更に、その成長への想いは切実で一足飛びの成長を期待するのも無理からぬところです。しかしながら、当の本人の心の内を大人のことばで代弁してみるならば、『私は、自分なりに完璧な成長を続けているのです。どうぞ辛抱強く付き合ってください。』といったところかも知れません。

 当センターの療育の様子を見ていますと、年間の中でも集中力や落ち着きのなさが目立つ時期があります。天候や季節など生理的なこと、大きな学校行事の影響など何か直接的な原因があるのかもしれませんが、いずれにしても長期的な視点をもつ必要があります。この子たちの成長の様子は、例えば円柱の塔に廻らしてある螺旋階段を上る姿になぞらえることができそうです。裏側に回っている時には子どもの姿が見えません。これまでの成長がストップしてしまった、あるいは下降しているのでは、と感じる時です。しかしこのような時に、子どもは成長の見える表側と充電期間のような時期とを併せもちながら一段ずつ着実に上っているのだと信じることは、子育ての大きな支えになります。周囲の大人の思いは確実に子どもに影響を与えています。要らぬ迷いに振り回されることなく歩んでいきたいものです。

 また、客観的に我が子の状態を把握するよう努めることも大事なことです。心配とは逆に『うちの子に不足しているのは友達とうまく付き合うことだけで…。』と楽観的な声を聞くこともありますが、本人の課題点を突き詰めていく態度は日々の教育にとって有効です。友達とうまく付き合うためには想像以上に多くのスキルや内面の育ちを必要としますし、これらの習得はそれほど簡単ではありません。このようなことを含め、今後とも当教育センターが子どもの家庭や学校での過ごし方に変化を与えるきっかけをつくることができれば幸いです。

 さて、先月後半に平成20年度の療育プログラムを発表し、申し込みを開始しました。次年度は年長児の4時間30分スクールプログラム、年中・年長児及び小学校1・2年生対象の音楽教室、中学校1・2年生対象の生活体験講座を新設しました。また年少児に子どものみのスクールプログラムができ、体育教室とサマープログラムの対象に小学校56年生が加わりました。本年度に増して充実した療育を展開していきたいと思います。

 今年は夏の猛暑に加え、今後は寒い冬になるようです。どうぞご家族の皆様共々お元気で新年をお迎えください。

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