子どもを自然の中に

Heart to Heart20 平成2472日発行

学園の幼稚園の教育方針について、北原キヨ先生が、著書『可能性を求めて』に、次のように載せています。

「当園では みんななかよし すなおなこころ こんきのよさ を教育目標として、まずもって健康な体力づくりを第一の着手とし、その体力の中から、心の健全な発達をうながしていくことを願っております。」その後にさらに説明を加えて、「人間は自然、季節の移り変わりの中から、いろいろなものを吸収して育っていきます。自閉症児とか障害児は、その吸収する力、適応する力が虚弱です。小さな子どもほど適応がきかないのです。となれば、頭をよくするとか、ものを覚えさせるという前に、まず自然、季節に適応する能力を育てることが大切なことになってきます。そうして組み立てたのが「生活保育」であり「生活療法」でありました」と述べています。

それで、北原先生は幼稚園開園後子どもの体力づくりを励行し、青梅の河川敷に建てた山荘を利用して、全園児に山荘合宿の機会を与えていました。またご自身が東京の小学校に勤務してみて、草木の花粉にかぶれたりする体質の子が多いことも感じ、自然にふれさせながら子どもたちの健康づくりをめざしていたのでした。

今、教育センターの療育プログラムの中にも、体力づくりなどの要素を盛り込んでいますが、この療育プログラムの中では、戸外に長時間出ることはなかなかできません。この夏休みには、ぜひご家庭のほうでお子さんを野山などに連れ出し、たくさん自然にふれさせていただければと思います。

せわしい都会の生活の中で、ハイキングに出かけたりする機会は、意識的に作り出さないとできないことですが、元々は人間の生活も自然と密接に関わっていて自然の一部であったことを思えば、発想の転換も必要でしょう。普段から日曜日などを利用して、お子さんを山や川に遊ばせることを実践されている方もいますが、そのようなお子さんは、やはり自然へのなじみ方を知らない間に身に付けています。

北原先生のことばを借りるまでもなく、子どものころに野山や森また海や川などで遊ぶ経験は、身体そのものに記憶される楽しい学びになります。どうぞご家族共々自然を楽しんでください。一緒に出かけるお仲間ができれば、さらに楽しいものになるのでしょうね。保護者の皆さんにとっても、日頃の雑多な想いをオゾンいっぱいの空気で洗い流すことができれば、日常の生活をリフレッシュする活性剤になるかと思います。どうぞ、この夏を身体を使って健康的にお過ごしください。

 

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