第39回   『ワークショップを振り返って』    (エピローグ)  

                                                                          炭田 晶弘 /鞄券ィ建築事務所
                                        北原記念館設計・壁面アートプロジェクト記録担当

  寺田理事長先生の発想に端を発した北原記念館の壁面レリーフを、すばらしい作品として世に送り出すことができ、ほんとうに喜びでいっぱいです。「のびていくすがた」をコンセプトに、武蔵野東の先生方を中心にさまざまな人の力が集まって、東の心の集大成とでも言えるような心に残る作品になりました。縦横8mもの巨大な壁面タイルレリーフで、こんなに彫りの深いものは国内外にもほとんど事例がないと思います。

 振り返ってみると、2004年7月から1年半にもわたった共同作業は、最初はまったくの手探り状態でした。なにしろ、メンバーにはレリーフの専門家はいませんでしたし、こんなに大きなレリーフ自体が珍しいのですから当然経験も無く、メンバーにとってどころか世の中の誰にとっても未知の世界を相手にすることになってしまったのです。ワークショップに参加したみんなが、自分の専門分野(彫刻、絵画、陶芸、建築、アート、タイル職人・・・など)から自分の知識や経験を総動員して、レリーフ案にぶつけ、話し合いや作業を積み重ねました。是が非でも成功をおさめなければという責任感は、エネルギーにもなりましたが立ちはだかる壁にもなりました。完成までの1年半のあらゆる段階で、次から次に新たな課題が浮き上がりそのたびに難渋を極めましたが、そのたびにひとつまたひとつとステップアップしていくこともできました。こういった過程の全ては一人ではとても背負いきれなかったと思います。多くの人の力が集まることでゴールまでたどり着くことができたことが、私にはことのほか嬉しく思われます。

 このようにして出来上がったレリーフは、これなしには北原記念館が語れないほどの完成度になりました。全ての案・全てのバリエーションを授業もこなしながら夜も休日も使って納得のいくまで自身の手で検証しつくした宮沢先生、レリーフ検討の進捗にあわせて建設工事がはじまる前なのにモックアップを創ってくださった細見さん、私たちの考えた微妙なカーブの立体形状を魔法のように粘土から切り出しつつさらなる提案を生んでくださった横井さん、縦横の直線ではなく図案のカーブに合わせてタイルを貼るという前代未聞の現場施工を自ら率先してくださった兼田さん、これまた前代未聞の立体目地づめをひとつひとつ異なるタイルの個性を見ながら創作してくださった上村さん。私も意匠面・技術面で存分に作業をさせていただきました。一般的に求められている平凡なレベルをはるかに超えて、創造力にあふれるちからを自発的に発揮する人たちが、こんなに集まったなんて、なんという幸運でしょう! 皆さんのエネルギーとチャレンジ精神とすばらしい腕前に感謝します。また、このような機会を与えてくださった武蔵野東学園の皆様にも心から感謝いたします。ほんとうにありがとうございました。

 

 

壁面アートプロジェクト  

後藤  司     武蔵野東技能高等専修学校・美術科教諭
延原 安輝子   武蔵野東技能高等専修学校・美術科教諭(2005年3月迄)
宮沢  薫     武蔵野東小学校・図工科教諭
炭田 晶弘    鞄券ィ建築事務所
               (北原記念館設計・壁面アートプロジェクト 記録担当)
清水 良匡    泣Aートワークプランニング(アートプランナー)
豊泉 久雄    叶シ松建設(北原記念館 建設)&スタッフの皆様
細見 雄次    叶D部製陶(特注タイル専門メーカー)&スタッフの皆様
横井 暢彦    泣純bツビジョン(レリーフ立体彫り加工)&スタッフの皆様
兼田 昌治    兜s二窯業(タイル貼り付け工程職長)&スタッフの皆様
上村
 欣央    兜s二窯業(立体目地づめ施工担当)

                                       (敬称略)

 

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