心が乱れたら 



 人間にとって、心が乱れるのは当たり前のことです。大切なのは、その時にどのようにして心を落ち着かせていくかということでしょう。
 
 心が乱れる原因として、情報過多が挙げられます。現代は情報が必要以上に錯綜し、知らなければ何とも思わなかったことを耳にしてしまったばかりに、自分が他者より劣っていると感じて惨めになったり、頭に血が上ったりしてしまいます。
 
 余計な情報には目を向けないに越したことはありませんが、その中でも最も人の心を乱すのは、やはり前述のような他者との比較でしょう。「隣の芝生は青く見える」といいますが、他人の仕事や収入、生活環境を自分と比較すると、現状に満足していたとしても他人のほうが良く見えてしまうのは人間の性であると言えます。
 
 しかし、比較してみたところで自分自身にとって何一つ良いことはありません。多くの人は、頭では理解できているでしょうが、いざそういった場面に出くわすと、心が乱れてしまうものですね。

 では、どうすればよいのでしょう。先ずは、自分の足元を見つめ直すことです。自分の人生が一番すばらしいのだと思い、目の前のことに全力で取り組んでみましょう。
 
 二つ目は、「三業を整える」ことです。仏教には、豊かな人生を生きるために、「身業(しんごう)・口業(くごう)・意業(いごう)」の「三業を整える」という教えがあります。詳述は控えますが、規則正しい生活を繰り返し行っていくことで、立ち居振る舞いが整い、言葉が整い、心が整ってきます。「早起きは三文の徳」と言うように、いつもよりも少し早く起き、部屋の空気を入れ換えてみるだけで、その日一日を気持ちよく過ごせると思います。
 
 最後の三つ目は、心の切り替えです。現代社会はとても忙しく、複数のことを同時並行でこなさなければならないのが、当たり前の時代です。そこで、夜10時過ぎにはメールを見ない、最寄りの駅の改札を出たら仕事のことは忘れる、寝る前の30分は考えことをしない、など、就寝前にその日一日のできごとに境界線をつけることで、きっと心の乱れが薄れていくのではないでしょうか。ぜひ、お試しください。

木村 修二  情報ID 77462 番  掲載日時 11/14/2018 Wed, 20:02