時間の管理 



こどもが帰宅すると、「早く宿題をやりなさい」「早くお風呂に入りなさい」「早く明日の準備をしなさい」と、毎日のようにせかし続ける自分が嫌になってしまうと感じている保護者の方も、いらっしゃるのではないかと思います。

ところで、早くやらないと困ると分かっているのに、なぜこどもは行動に移さないのでしょう。「早くしなさい」と言われると「分かっている」「後でやる」と言い返すのはこどもの定番の返事で、親はこれについイラッとさせられてしまいます。

あえてこどもの心の声を代弁すれば、宿題も学校の準備も習い事の練習もやらないつもりではないので、親からの催促に「分かっている」と返答するのです。しかし、大人のような時間感覚がこどもは弱いのです。けれども、「あとでやる」という言葉にうそはなく、あとでやる時間はちゃんとあるのだとこどもは本気で思っているのでしょう。

では、こどもの時間感覚とはどんなものなのでしょうか。実はこの時間感覚にこそ、親が「早くしなさい」と言ってもこどもが動かない理由が見え隠れしています。おそらく、放課後から翌朝登校するまでの間にいくらでも時間があると思っているのでしょう。これは低学年だけでなく、中学受験を控えた高学年にも同じことが言えます。

これを改善する方法として、「見える化」をしてあげることが挙げられます。まずは、ホワイトボードのようなものにその時間その時間に行うべきことを列挙し、全体像を把握させます。次にやり終えたものをチェックさせながら、時間の使い方も教えていくことで、今やるべきことが意識できるようになっていくでしょう。

また、所要時間の観念の理解が難しいこどもには、ストップウオッチなどを使用して、「これにはこれくらいの時間がかかる」という時間の感覚を持たせてあげましょう。
はじめは親が一つひとつ一緒に行ってあげながら、時間の使い方を教えていき、徐々にこども自身にスケジュールを立てさせ、決めたことはやり通す経験を積ませることの繰り返しで、自然と時間の意識が高まっていくはずです。

何かと忙しい現代の小学生です。親の気持ちとして、どうしてテキパキと動けないのかしらと嘆いてしまいがちですが、「こどもは時間通りには動かない」「やるべきことをすぐにはやらない」ものだという心構えで、改善策をこどもと一緒に取り組んでみてください。必ず良い方向に向かっていくはずです。

木村 修二  情報ID 71883 番  掲載日時 09/13/2016 Tue, 08:30