校長の独り言【497】 



 先日、「米ディズニーランドではしか患者が急増」とのニュースがありました。
 アメリカでは、西部、カリフォルニア州にあるテーマパーク、ディズニーランドを訪れた人を中心に、はしかの患者が去年暮れ以降、急増していることから、アメリカのCDC=疾病対策センターは、感染の拡大を防ぐためワクチンを接種するよう呼びかけているようです。
 しかし、「予防接種で自閉症になる」というデタラメな論文の影響で、予防接種を拒絶する親が未だに多くおり、感染の拡大を危惧するものでした。

 調べてみると、2010年2月3日の記事でが。
「子供への予防接種が自閉症の症状を引き起こす──。1998年、そう主張する論文が英医学誌ランセットに掲載されると、欧米各地で予防接種を拒絶する親が激増した。
 あれから、多くの研究者がこの研究に疑問を呈し、共同研究者の大半が何年も前から論文の撤回を求めてきた。そして今週、ランセットはついに、この悪名高きこの論文を正式に撤回した。
 問題のワクチンは、麻疹(はしか)とおたふくかぜ、風疹を予防する新三種混合ワクチン(MMRワクチン)。論文の共同研究者13人のうち10人はすでに2004年に、ワクチンと自閉症との関連性を否定していたが、主要執筆者の医師アンドリュー・ウェークフィールドは撤回を拒否してきた。今回、ようやくこの論文が科学界から抹消されたわけだが、それは長年指摘されてきた科学的な間違いのためではなく、この研究が倫理基準に違反していたという公的判断のおかげだ。
 
 一言でいえば、問題の論文はMMRワクチンの接種を受けた子供が数日以内に腸に炎症を起こす可能性があるという内容だ。12人の被験者のうち9人については、接種後1〜14日以内に自閉症の症状も見られたため、ウェークフィールドはワクチンが子供の腸にダメージを与えたと結論づけた。
 ウェークフィールドの複雑な仮説によれば、麻疹の予防に関係するワクチンによって腸に炎症が生じ、そこから有害たんぱく質が血中を通って脳に流れこみ、神経細胞に損傷を与えて自閉症を引き起こすという。」とありました。

 MMRワクチンと自閉症の関連を主張した論文は撤回されましたが、予防接種を拒否する流れが未だに止まっていないのが事実です。多くの子どもたちの生涯に係わること故に、情報発信の在り方、説明責任について、改めて考えさせられました。

校長  情報ID 63375 番  掲載日時 02/06/2015 Fri, 13:26