校長の独り言【360】 



 ~夢は 必ず実現します~
 この言葉は、武蔵野東学園 創立の母である北原キヨ先生が残した言葉です。
 キヨ先生が亡くなられた後、まさに、私はこの言葉を支えに毎日を生きてきました。
 私の夢というのは、ひとつは学園の発展です。ご承知のとおり、本学園も創立50周年がカウントダウンの状況となって、開校以来行ってきました、自閉症教育、生活療法も、お陰様で三歳から十八歳までの教育カリキュラム、卒業時の進路指導、そして、卒業後のフォロー指導体制、余暇活動への支援、親亡き後の自立のためのグループホーム、ケアホームの運営、更に「成年後見制度」と、学校法人、学校としては他に例のない体系を作り出してまいりました。後は、創立者の最後の夢でもあった「親子が安心して暮らせるコミュニティ」の実現と生活療法のブラッシュアップであると考えています。
 もうひとつの夢は、高等専修学校への正しい認識と、高等学校との格差是正です。
 私が、高等専修学校の振興を強く願いはじめたのは、この作文を読んでからです。格差は、学校だけでなく、子どもたちの心の中にもあったのです。 だからこそ、我々教員は頑張らなくてはいけないと考えたのです。  
『この文集のテーマ『未来』は、武蔵野東技能高等専修学校で頑張ってきた3年間をいかに活かしていこうかといったものが感じられます。つまり我々13期生はこの学校が大好きになったし、未来も明るいものを考えられるようになっています。でも3年前はどのように感じていたでしょうか。
 この武蔵野東技能高等専修学校を受験しようと思ったとき、皆さんはどんなことを考え、どのように決断したでしょう。
 この学校は高等専修学校ということで高等学校ではありません。そのことをまず初めに悩んだのではないでしょうか。
 高等学校ではないということは、周囲や親戚や友達から高校にいけないから高等専修学校に行くことになったと思われるのではないかと不安を抱いたはずです。高校と同等という言葉は中3の時の私たちにとってなかなか信じられないものですし、今でも高等専修学校について正しく理解をしてくれる人は少ないと思います。私はそのことが、この学校で3年間過ごしていてとても悔しいのです。
 この学校には人を傷つけたりする人はいません。先生方はみなさん熱心ですし、先日、進路の先生から話があったように就職率が100%です。この不況の中で100%というのは私たちの学校の誇れるものの一つです。また、進学に関しても他校と比べてもなんの遜色もないものだと思います。』
 全国や東京の高等専修学校協会の役員をさせて頂き、活動しているのは、まさにこのためであり、理解の推進と格差是正が実現した時には、必ずや本校で学ぶ生徒たちにその恩恵があると強く信じ活動をしています。この活動の中で、平成15年度以降、専修学校の独自性を失うことのないかたちで、『専修高等学校』として学校教育法の第1条に規定されるよう強く要望してきました。しかし、中央教育審議会「キャリア教育・職業教育特別部会」の最終答申(平成23年1月31日)により、高等専修学校の悲願の1条校化の望みが絶たれましたが、しかし、在校生と卒業生の為に、高等専修学校のさらなる振興は図っていかなければなりません。
 そんな時、文部科学省をはじめ国の政策に掲げられていました「専修学校における単位制・通信制の制度化」について、関連する省令・告示の一部改正に向けた手続として、1月24日からパブリック・コメントが開始されました。「高等学校等就学支援金」の対象となったことと同様に、高等学校との格差がまたひとつ是正されようとしています。
 しかし、格差はまだ残っています。これらも、~夢は 必ず実現します~を忘れずに、がんばりたいと思います。

校長  情報ID 46650 番  掲載日時 02/23/2012 Thu, 10:43