校長の独り言【356】 



 今週で、平成24年度生徒募集である推薦入試、第1期一般入試を終えました。今年も入学希望の保護者の皆さんと面接をさせて頂きました。今年も本校の教育にかける期待を直接聞かせて頂き、気持ちを新たにさせて頂きました。また、同時に今年も、高等専修学校を、もっと早くから正しく知ってほしいと願うことも多くありました。
 
※東京都高等専修学校部会の機関誌『路』に掲載した私のコラムです。
『高等専修学校を、多くの人に正しく知ってほしい』

 高校でなく、専門学校でもない、高等専修学校を、中学校3年生の段階で正しく知っていれば、遠回りをせずに、人生を歩めた人がいっぱいいるように思えてなりません。

 高等専修学校が誕生して35年の歳月の中で、高等専修学校こそが、時代の流れをいち早く察知し、子どもたちのために臨機応変に対応してきたと言えます。
◇15歳人口の多い時代に、「15の春を泣かすな」の合言葉の中で、高等専修学校は公私の高等学校の大きな受け皿となり、中学校浪人の対応をしました。
◇高校中退や不登校の生徒をいち早く積極的に受け入れ、職業教育を通して社会人としての資質、職業人としての技術・資格、更には自信を身につけさせ実社会に送り出しています。さらに、最近ではフリーター、ニート対応まで行っています。
◇特別支援教育に関しては、既に高等専修学校は高等学校よりも早い対応を始めています。
このように、後期中等教育機関の中で、高等学校ではすぐに対応できない教育諸問題の解決のために、現行制度の中でいち早く対応できる必要不可欠な学校群であると言えます。

 この高等専修学校の教育を、もっと多くの人に正しく理解してもらえることを願い、毎回の説明会では、次のようなポイントで高等専修学校の説明をしています。
①現在社会の問題点
15~24歳の若年層の完全失業率約9%、非正規雇用率約32%、フリーター183万人、ニート約63万人、新規学卒者の早期離職が中卒7割、高卒4割、大卒3割、高卒就職内定率77.9%・大卒就職内定率68.8%(平成22年12月1日現在)、卒業後に就職も進学もしない大学生15万人、高校生5万人、これが今の日本の現状であること。
②後期中等教育機関の現状
既存の高等学校で学びにくい生徒の増加に伴い、通信制、定時制の生徒の増加、この10年間で通信制高校の学校数は2倍以上に増え、1/3は1年間で1単位もとらず、卒業生の4割は、就職も進学もしていない、かつ定時制高校の様子もすっかり様変わりしてしまった。この現状から、京都府では通信制・定時制の在り方について再検討に入るとのこと。
③高等学校と高等専修学校の格差はない
高等専修学校も高等学校等就学支援金の対象校であり、その他の保護者授業料等負担軽減も同様である。卒業後の進路に関しても、高等教育機関への進学、就職は高卒求人、公務員試験は人事院規則で高等学校同様に初級対象であり、生徒にとって格差は存在しないこと。
④この問題解決のためには
既存の学校において、キャリア教育・職業教育の欠如が最大の問題点であり、この悪循環を止めることが出来るのは、既存の学校制度の中で、高等専修学校が最短距離にいると考えていること。
 
 そして、8つの分野からなる高等専修学校は、各分野の特性を生かし、職業教育の中に目的意識を持つ生徒や、現行の高等学校では学びにくい生徒に対して、正に、普通科・専門学科・総合学科といった学科を越えて、多様化する生徒のニーズにいち早く柔軟に応え、職業教育と人間教育を通して、多くの生徒の人間的成長に大きな成果をあげている事実があります。
 高校ではありません。しかし、このように高校と何の遜色もありません。そして、各校ともマンモス校ではありません。家庭的な学校がほとんどであり、卒業後の進路決定に関しても、非常に丁寧に指導しているのも高等専修学校の大きな特徴であると思っています。

 是非、この『路.みち』を通して、高等専修学校を正しく、深く、知ってほしいと願っています。


 



校長  情報ID 46234 番  掲載日時 01/27/2012 Fri, 11:32