校長の独り言【312】 



武蔵野東学園むらさき会会報「可能性をひろげて」第51号
シリーズ 園長・校長語る
「皆さんはどちら派ですか」 高等専修学校 校長 清水信一

 日本の今の経済状況から、就職に係わる報道が連日のようになされています。完全失業率約9%、非正規雇用率約32%、無業者約63万人、新規学卒者の早期離職が高卒4割、大卒3割、氷河期を越える大卒就職内定率57.6%、卒業後に就職も進学もしない大学生15万人、高校生5万人、このような報道を聞く度に、我が子の将来を心配しない親はいないはずです。ですから、この状況下でハローワークに親子で来庁するケースが増えているとか、更には企業の入社式に親の同席が多くなった(大学等の入学式、卒業式も同様な傾向があるようです。)等のニュースが度々報道されます。子の親であれば誰もが、我が子の将来を心配することは当たり前のことであると私も全く同感です。
 高等専修学校の進路指導の歴史の中にこのようなことがありました、「この職場は寒いから」、「この仕事は汚いから」、「本人のスキルとかけ離れた就職先を強く希望する」等、就職する本人ではなく親御さんの基準で就職を断るケースがありました。当然、寒い、汚い仕事であってもその仕事に毎日誇りを持って従事している人もいるのです。親御さんの我が子を思う気持ちの一人歩きによって、明らかに、子どもの居場所をなくしてしまうことは大変寂しく思いました。
 昔の人は、「苦労は買ってでもしろ」と言いました。これこそが子どもの真の自立への近道ではないでしょうか。
 あるニート・引きこもり支援団体の法人代表の方が、ニートから抜け出るにはどうしたらいいのかという問いに対して、代表の方は「親力(おやりょく)」が最も重要だと言っています。親力とは「子どもをしっかりしつけ、育てて社会に出していく力。」とのことです。
 先日、偶然読みました、あるお母さんの息子さんの就職内定を喜んだ手記に、こんなことが書いてありました。(この方は、東学園の関係者ではありません。)
「※前略
この、超就職氷河期と言われる大学新卒の就職活動。アスペで小さいころからおとなしく、自己主張もできなかった息子の就職活動は、困難を極めました。
※中略
 私は、この一年不安で々たまりませんでした。でも、底のすり減った革靴を磨き、スーツにアイロンをかけて頑張る息子には、何も言わず、毎日祈るような気持ちでした。※後略」
 
 さて、皆さんは、このような状況の時に、じっと見守る派ですか、革靴を磨き、スーツにアイロンをかける派ですか。

校長  情報ID 41339 番  掲載日時 03/04/2011 Fri, 10:25