校長の独り言【138】 



 1月8日 の読売新聞の記事です。
『工・商業高など再編 5年制の職業校新設』
 政府・自民党は、職業教育を充実・強化するため、中学卒業を資格とする5年制の新たな職業教育機関を創設する検討に入った。大学進学率が高まるにつれ、現在の高等専門学校(高専)や、工業高校、商業高校など専門高校への入学志願者が減り続け、既存の機関に代わる新たな職業教育の枠組みを作る必要性があると判断したものだ。近く自民党内にプロジェクトチームを設けて議論を始め、年内に新たな学校種の規定を盛り込んだ学校教育法改正案の策定を目指す。
 新たな5年制の職業教育機関の基本的な枠組みは、各都道府県の工業や商業、農業など複数の公立の専門高校を再編・統合し、3年間の教育課程にさらに2年間の新たな高等教育課程を加える、というもの。このほか、既存の専門高校や高専の教育課程を短大や専門学校と統合する――案なども検討される見通しだ。
 卒業後に取得出来る称号は、現在の高専と同じ「準学士」とするなどの意見が出ている。
 5年間の職業教育機関が検討されている背景には、工業や商業高校などいわゆる職業専門高校の職業教育における地位の低下がある。専門高校に3年間通い、さらに数年間、別の専門学校に通って知識や資格を取得する学生が増えているのが現状だ。
 そこで、5年間の一貫した職業教育を実施することで、従来、高校の3年間で取得することが不可能だった資格が取得できるなどの利点が生まれる。
 また、多様化する社会で、工業系と商船に限定した現行の高専は、限界が指摘されている。文部科学省の07年4月の調査では、高専の卒業者のうち、就職を希望する学生は63・5%で、残りの4割は大学などへの編入学を希望している。
 高卒者を対象とする民間の専門学校は、情報処理や医療、衛生、商業実務、服飾など、幅広い分野に手を広げており、これらも産業の多様化を反映した結果だといえる。
 このため、新たな5年制の枠組みでは、従来の工業や商業などの科目に加え、サービス業や医療、スポーツなど、多様な実務教育の科目創設を検討している。
 ただ、少子化時代の到来で厳しい経営状況にある短大や専門学校と競合する可能性もあり、関係者の反発も予想される。
・失業やニート背景就職に役立つ形に
 政府・自民党が5年制の新たな職業教育機関の創設の検討を始める背景には、学校教育と、実社会に進んで携わる職業の不釣り合いから生じる若年失業者や、通学も就労もせず、職業訓練も受けていない若者(ニート)の増加がある。
 工業や商業高校などの専門高校を卒業したものの、就職に役立つ知識や資格を取得出来ずに専門学校に進む学生が増え、昨年は、高卒全体の2割を超える約28万人が専門学校に入学するなど、職業教育の“空洞化”を指摘する声は多い。また、高校と短大、専門学校での学習内容が異なるケースも多く、学校現場での学習と、将来就きたい職業が一致せず、若者の離職率が高まる一因にもなっている。
 このため、政府・自民党は、5年間の一貫した職業教育を実践することで、“職業人”を意識した学習ができると判断した。

 確かに、専門高校と高等専門学校の現状変化への対応、改革は必要であると思いますが、余りにも現場を知らない方々の議論であるとしか思えてなりません。実際に、中学校3年生の段階で、ひとつの業種に絞った学校選択がすごく難しいとの声を多くの中学校の先生方から聞いています。ですから、本校は平成20年度より、このような背景から「総合キャリア学科」の導入に踏み切り、空洞化という言葉を借りるのなら、義務教育段階での職業観の育成、キャリア教育の空洞化を15歳からの学校に置いて埋めることにより、18歳からの将来を見据えた進路決定につなげることを目標にしています。
 この段階的教育が欠如したままであるならば、社会問題となっている中途退学、ニート、フリーター等の問題解決は益々遠ざかって行くような気がしてなりません。
 これは、あくまで私の私感であります。

校長  情報ID 22835 番  掲載日時 01/17/2008 Thu, 10:56