校長の独り言【132】 



 毎年この時期になると見学者が多くなります。当然一番多いのは入学希望者の見学ですが、その次に多いのは、卒業論文を書くために訪れる大学生と大学院生、教職課程の授業の一環で訪れる大学生、自閉症の生徒を受け入れのための研修で見学にいらっしゃる企業や福祉作業所の皆さんです。
 しかし、平成15年7月のNHKスペシャルで取り上げていただいてからは、教育関係者の見学者が冨に増えているように思います。それも東京都内だけでなく、他県の教育関係者、特に中学校、高校、特別支援学校等の現場の先生方の見学が最近多くなりました。その背景には、平成17年度より施行された「発達障害者支援法」と平成19年度より推進されている「特別支援教育」によるものであると推察することができます。この様な状況の中で、偶々、本校がどこよりも先んじてこの教育に取り組んでいることから、その様子と仕組みやカリキュラムを見に来られ、自校の教育に参考にして頂いているようです。見学に訪れた先生方の多くが、やはり自校での混合教育の展開に関しては、その現状からすると健常児の教育をどの様にしていくかが大きな課題であると言っておられます。
 逆に、見学される本校の生徒ですが、他校の生徒に比べるとやはり見学されることに慣れているところがあります。慣れているところは、実にいつも自然体でいつものように学校生活を送っていることです。また、本校の教員も同様に、いつどなたが見学にいらっしゃるか分かりませんので、いつも自然体で生徒との接点を持っています。
 そんな時に、いつも先生方に私が話していることがあります。NHKスペシャルの1年2ヶ月に及んだ朝から夜までの取材の時にも話したことですが、「見学の皆さんは、カメラ的に見られます。それは、ひとり一人の生徒の個性、生育歴、家庭環境等はまったくご存じないからです。ですから、必要があれば出来る範囲で説明してください。それをしないと、カメラ的に見ただけで、前後左右の事柄が判らない故に、その本意を理解することが出来ないままになってしまいます。」と。
 今後も、本校の教育の現状が多くの学校さんに参考となるのであけば、できる限り見学の申し出をお受けしていきたいと思っています。それは、多くの方に見て頂くことは、やがて、本校で学ぶすべての生徒の良き理解者が増えることにつながると確信しているからです。

校長  情報ID 22062 番  掲載日時 11/22/2007 Thu, 13:46