校長の独り言【110】 



 お陰様で、公開授業は成功裡に終わることができました。
さて、前号の公開授業第1回からの参加人数の変遷をご覧になって、どの様に思われましたでしょうか。
第1回・・・初回と言うことと、公開授業の趣旨があまり理解されていなかった。
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第3回・・・徐々に公開授業の趣旨の理解が高まり、全国から参加頂けるようになった。
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第5回・・・趣旨の理解の高まりにより、1校から複数の先生の参加を頂ける学校が増えてきた。
第6回・・・少子化と公立高校の改革により、高等専修学校の生徒数が減少傾向となった。それに合わせて、先生の人数も比例し減となり、1校から複数参加校が自ずと減ってきた。
第7回・・・第6回と比べると僅か6人の減であるが、実は今回より初めて保護者の皆さんの参加を認め、実際に27名の方々が参加頂いている。つまり、先生方の参加は72名となり、実際には第6回より33名の減となっている。
 いかがでしょうか。この参加人数の変遷から、この数の裏側にあるものを理解して頂けたでしょうか。
 そこで、私の挨拶の一部を紹介致します。ご一読頂ければ、この数の裏側にあるものを理解して頂けると思います。
『専修学校制度が出来て30年余りが経過いたしました。この30年の歳月の中で高等専修学校こそが、時代の流れをいち早く察知し臨機応変に対応してきたと私は言えると思っています。
 1つ目は、中学浪人への対応です。
制度が出来た当初、15歳人口の多い時代であり、「15の春を泣かすな」の合言葉の中で、ある意味、高等専修学校は公私立高校に定員関係で入学を断念した生徒の受け皿でありました。
 2つ目は、高校中退、不登校生徒への対応です。
やがて、教育界では、少子化、学力低下・不登校・高校中退・学級崩壊・犯罪の低年齢化等の問題が毎日のようにマスコミが賑わすようになりました。その時に、高等専修学校は、高校中退や不登校の生徒をいち早く積極的に受け入れ、職業教育を通して、社会人としての資質、職業人としての技術・資格を身につけさせ、実社会に送り出しました。そんな時に、当時、高等専修学校はサポート校ですかと言う質問が多かったことを覚えています。
 そして、このような問題解決のために、公立高校の改革が始まりました。東京でも都立高校改革と言う形で、新しいタイプの都立高校が誕生しています。中高一貫教育校(中等教育学校)、進学指導重点校、総合学科高校、単位制高校、チャレンジスクール、エンカレッジスクールがあります。その多くは、高校中退や不登校生徒の受け皿になっています。中には、無試験で、三部制の定時制の単位制高校であるエンカレッジスクールもあります。個人的には不登校の生徒がフレックスの学校に行っても、18歳の就職先でフレックスの会社は無いと思うのですが、さらには自動車整備士、調理師、福祉の高校や、さらに東京版デュアルシステムを導入した高校と、つまり都立高校の高等専修学校化が顕著に窺えます。これは、学習指導要領の適用外の高等専修学校が今ある教育界の諸問題に大きな教育効果を出している証であると私は考えています。
 3つ目は、特別支援教育への対応です。
平成19年度より国が推進しているものであり、小中学校において、通常の学級に在籍しているLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する適切な指導及び必要な支援が行う趣旨のものであります。
 この背景には、平成16年6月4日に公布された障害者基本法の一部改正により、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない旨が規定されています。
 この特別支援教育は、現段階では小中学校の義務教育段階のものですが、教育再生会議でも議論されているように、もうすぐ後期中等教育機関もその対象となるはずです。いかがでしょうか、現時点で、障害のある生徒が一人も在籍していない高等専修学校がありますでしょうか。私はないと思います。
 ですから、この点に関しましても、高等専修学校は高等学校よりも、早い対応をしているのです。
以上のように、この30年、高等専修学校は様々な教育に関する問題に、後期中等教育機関の中で高等学校よりもいち早く対応しているのです。しかし、後から高等学校が追いかけてきて、追いつかれ、数の論理(学校数、知名度、授業料)により飲み込まれてしまっているのが現実です。
このようなジレンマの中で、高等専修学校のこの独自性や個性を社会にどのようにアピール、発信していくかが急務であると考えています。
本日、先生方とのこの出会いにより、この公開授業を通して、高等専修学校の存在感を世に示す気運が高まることを願って止みません。』
 

校長  情報ID 20051 番  掲載日時 07/09/2007 Mon, 10:39