校長の独り言【107】 



 先月の話ですが、丁度ハワイ修学学習の出発前日の5月12日(土)に、国分寺市立小・中学校PTA連合会からの依頼で研修会の講師を務めさせて頂きました。私は、研修会が終わった後、私の2時間の話を聞かれた保護者の皆さんがどの様な感想をもたれたのか、私自身知りたい気持ちでいっぱいになりましたが、残念ながら知る機会はありませんでした。
 ところが、1ヶ月余りたった昨日、ひょんなことである方のブログの中にその感想を偶然に見つけることが出来ました。その感想を紹介したいと思います。

『13時からPTA連合会引継ぎ会のため、慌しく会場の七小に向かったところ、なんと、引継ぎ会は15時半からとのこと!!
子どもがもらってきたお便りを、バタバタする中、適当に手帳にメモしたのが原因。
ど~しよ~かな~、いったん家に帰ろうかな~、と考えながら、
ふと見ると、13時からは、P連研修広報委員会主催の分科会が開かれるとのこと。
「あ、そういえば、そういうお知らせを見たことがある(委員の皆様、すいません~)、出たいと思っていたんだ」ということを思い出し(お恥ずかしいです)、急遽参加することに。
分科会は、「本の世界」「日本人学校に通う子どもたちの生活」「いじめ」「不登校」の4つ。
どれも関心があるテーマなので、しばし悩んだ末、「不登校」に参加。
講師は、武蔵野東技能高等専修学校校長の清水信一さんで、主に学校の取り組みについて、ご紹介いただきました。
ウッカリ時間を間違ってよかった~と思った、貴重な2時間でした
武蔵野東学園の取り組みは、私も以前、「統合教育」という検索キーワードでヒットしたことから、ホームページを閲覧したことがありました。
学園全体(幼稚園、小学校、中学校、高等専修学校)の在校生1,710名中、自閉症の子どもたちが457名(H19.5月1日現在)。
自閉症児との混合教育はもちろんですが、高等専修学校においては、いじめ、不登校、高校中退の子どもたちを受け入れているとのこと。
学校の紹介として、会の冒頭に、NHKスペシャル『こころの二人三脚~自閉症児と級友たち~』(H15.7月13日放映)を、見せていただきました。
いじめや不登校を経験する中で、自分自身に対して自信を失っていた子どもたちが、
バディシステム(健常児と自閉症児による一対一のペアを単位として、学校生活の様々な活動に取り組んでいくシステム)を通して、相手を理解しようとする気持ちの芽生え、
誰かから頼られることで、自信を取り戻していく過程、目の前のハードルを、何とか乗り越えていこうともがいている姿、そして、一つの課題をクリアした後の笑顔、輝きなどなど、約50分の映像の中に、私たちが知るべき宝物が、ギッシリとつまっていました。
子どもの力、いや、子どもだけじゃなく、人間の持っている力は、本当に素晴らしい。
何よりもそのことを信じて、絶対にあきらめない。
それが、何よりも必要なんだということを、あらためて実感しました。
「学校に行っていないということで、15歳の段階で将来が閉ざされるわけではない。子どもの力を引き上げていくのは“環境”」
「不登校や自閉症の子は、心が優しい。繊細な感情を持っている同士、共感し合える部分がある」
「その子の居心地のいい居場所をつくることが大事」
「多感な時期だからこそ、集団生活の中で、友人との心の通い合い、心のぶつかり合いを通し、人間としてより一層の成長をはかれるよう、学校全体で支援していく」
などなど、本当に国分寺の子どもたちや保護者の皆さん、教育関係者や行政職員に、
ぜひ、聞いてもらいたい言葉がいっぱいでした。
いじめや不登校、障がい、非行、非虐待など、いろいろな課題を抱えている子どもたちを、
支援する側の都合で分散させないで、ぜひとも、一緒の視点で支援していくしくみが必要なんだ、と痛感しました。
その大きな理由として、
①支援を受ける側の子どもたちの選択肢(場所や支援内容など)が、大きく広がること。
②支援のしくみから漏れてしまう子どもをなくすこと。
③課題を抱えている子どもを包括することによって、保護者の問題意識を広げていくこと。
特に③については、私自身も保護者の立場で、単独の問題については理解していても、どうしてもそれ以外のことになると興味が薄れてしまう、理解が進まないという現状の課題を感じています。
「自分の子」という枠組みを放れて、「子どもの成長」という観点から、
子どもたちを取り巻いている様々な課題について考え合える土壌をつくっていくことが必要であるし、「共に子育てしているもの同士」だからこそ、それは、決して不可能なことではないと思っています。
先の映像を見ながら、何人もの方が涙をぬぐっている姿を見ても、そう確信しました。
今後求められることは、「知る機会」「気づく機会」「考える機会」を、増やしていくことではないでしょうか。』

 偶然でしたがこの感想を読ませて頂き、本校の教育への理解者がまた増えたことを本当に嬉しく思いました。そして、この良き理解者の皆さんが、本校を卒業していく障害のある生徒の実社会での良き理解者になってくれることを願っています。

校長  情報ID 19678 番  掲載日時 06/21/2007 Thu, 14:49