校長の独り言【80】 



 1月24日に教育再生会議の第1次報告【「社会総がかりで教育再生を」~公教育再生への第一歩~】が発表されました。その中には、7つの提言と4つの緊急対応が記されています。
 発表と同時にいろんな立場の方がこの提言に関して様々な意見を述べておられますが、私学の教員ではあります私もひとつだけ本校の体験から意見を述べさせて頂きたいと思いました。それは提言の「2.学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする」の中に、いじめている子供や暴力を振るう子供には厳しく対処として、出席停止制度の活用があります。高校レベルで言う「家庭謹慎」、「停学」ということになると思いますが、私はそのような子供を停学とすること自体意味のないものであると考えています。本校には、開校以来20年間、「家庭謹慎」、「停学」という措置はありません。学校故に、学校という社会の中で問題解決に努めない限り、現実の実社会の中で通用するものではないと考えているからです。 
 ですから、本校では、「校内謹慎」、より具体的にいうと「職員室謹慎」という措置をとっています。対象の生徒は、通常通り学校に登校して自分の教室に入るのではなく職員室で学校生活を送ります。そして、担任だけではなく多くの先生方の目の中で謹慎し、かつ多くの教えを受けることになります。当然、学習も自主学習という形ですが、各教科担当のアドバイスもあり、定期試験で高得点をとり、学習に対しての自信を得た生徒も数多くいます。つまり、学校から切り離すのではなく、全教員でその子供を抱え込む教育環境の整備こそが必要ではないでしょうか。教育の分業(受験は塾へ、不登校はカウンセラーに、クラブ活動はNPOへ、校外学習は業者へ・・・・、)が今日の学校の姿になったことを思い出して欲しいと思います。
 例えば、罪を犯した少年は鑑別所や少年院を経た後、保護司の方と最低1ヶ月に2回以上の面接を20歳となる日まで義務づけられています。例えが適切ではないのですが、もし、教育再生会議の提言通り、「出席停止制度」を導入するならば、その子供が自宅にいる間、誰がどのような方法で責任を持つのかを徹底的に議論してもらいたいと思います。教育の分業を避けるという観点からも、出来ることであれば、「出席停止制度」から「職員室謹慎」の方向に行くことを願っています。
 また、提言の最後に、私にとって大変嬉しく、かつ期待をする項目がありました。それは、「教育再生に向けての今後の検討課題」の「1.教育内容の改革」の中にあった3項目です。全部で12項目掲げられているのですが、
⑦心身の障害、LD、ADHD等の発達障害、・・・・・・個別の指導を要する子供に対する、きめ細かいニーズに応じた指導・支援のあり方
⑪高校、専修学校、高専等における社会ニーズに即した教育体制の強化
⑫職業教育・産業教育のあり方
 是非とも、今後の活発な議論を願い、5月の第2次報告書の中に必ずや明記され、早期に具現化されることを期待しています。
 最後に、この報告書を読んで思いました。私学故に先行している項目が結構ありました。
 本学園の理事長曰く、『先取りはゆとり』。


校長  情報ID 17079 番  掲載日時 01/25/2007 Thu, 14:41