励みとなるお手伝いを

Heart to Heart(第9号)平成20128日発行

今年も早や師走を迎えています。
 子どもたちは、この秋には幼稚園や学校でたくさんの行事を経験したと思います。それぞれの子どもにとって、とても楽しかったものもあれば、本人にとってやっていることの意味があまりわからなかったり、ストレスが感じられたりしたものなどいろいろだったかもしれません。大勢で行う行事にはさまざまな要素が含まれています。全てのことが各個人のニーズにジャストタイミングで合っているとは限りませんが、子どもにとってはやはりインパクトの強い経験であり、雰囲気に慣れるということなど目に見えない部分を含めて、確かな成長の糧になっているものと思います。

教育センターでは、全体で行う大きな行事というものはありませんが、できるだけ各プログラムの中に動きをもたせ、子どもたちがさまざまな活動に慣れていくようにしています。たとえば作業や学習の合い間に運動を入れたり、各グループが集まってゲームをしたり、また屋上での遊びやビオトープの観察に行ったりして活動に変化をつけています。その他に、子どもたちがスタッフルームを訪ねて先生方に製作した作品を説明したり、ハロウィンの時期には、製作したお面をつけて「トリック-オア-トリート!」の遊びを楽しんでおやつをもらったりしながら、ことばの使い方を練習する場面を作っています。いろいろな場面における対応の仕方を数多く経験することは、社会性を養い、行動力に幅をつけます。

さて、にぎやかさやあわただしさの漂う年末の独特の雰囲気は子どもにも伝わっていて、楽しさを予感させているようです。中には、巷のにぎわしさに影響されるのかクリスマスのきらびやかな飾り付けやイルミネーションに心躍るのか、たまに一人でどこかをうろついてしまう子どももいますので、お子さんによっては注意が必要です。

冬休みに入ると、家で過ごす時間が圧倒的に多くなるわけですが、自由な時間の過ごし方が不得意なこの子どもたちにとって、暇がありすぎるとよくないパターンを生み出しがちです。その生活パターンがこだわりのように固定化すると、それを崩して生活に幅を持たせるようにすることは簡単ではありません。そこで、積極的によい習慣を生活にもちこむことが、子どもの創造的な生活を可能にしていく鍵になります。

 家庭でお手伝いを始めることは、新たなことができるようになったという達成感を生むとともに、家族の一員として役割を果たしているという自尊感情を育みます。また、学校や教育センターで学習したことを、見覚えのあるプリントをもとに家庭学習したり、センターで手がけた作品を家でも作ってみたりしながら、メリハリのある過ごし方を心がけたいものです。その際にはあまりに期待を高く持ちすぎることなく、あくまでも本人のレベルの一歩だけ先を見るようにして、成し遂げたときにはぜひ心からほめてあげてください。

 日本の伝統的な文化のにおうこの年末年始は、お子さんの教育にとってもよい機会です。年の暮れやお正月の雰囲気を活かして楽しさを存分に与え、お子さんの心を揺り動かしていただきたいと思います。楽しさはがんばる気持ちにつながります。

 どうぞご家族でよいお年をお迎えください。

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