いつも新たな気持ちで出発を

Heart to Heart(第28号)平成273月1日発行

まもなく今年度が終了します。この年度切り替わりの雰囲気は子どもたちにも影響を与えます。とくに新入学とか上級校への入学は、本人にとって大きな環境変化です。教育センターでも、新入学の子どもが家でランドセルと帽子を身につけて入学を楽しみにしているというお母さんの話を聞いて、そんな意識があったのだなあと話題になったり、とても内気なタイプの子どもが中学校に入学することに誇りを持っている様子が、スタッフ間の楽しい話題の一つになったりしています。 

この時期には、年度のまとめとして子どもたちに一年間の頑張りを褒め、新年度の新たな頑張りへの期待を伝えます。こうした年度の区切はとても大切なもので、是非ご家庭でもお子さんの気持ちを不安ではなく期待に向けていただきたいと思います。新年度を、すっきりと新生した気持ちで臨める新たな出発にしてあげましょう。

さて、保護者の皆さんはお子さんの成長を願って前へ前へと未来に気持ちを募らせ、毎日の子育てに励まれてきたことと思います。その頑張りが今日のお子さんの成長を導いてきたわけですが、一方でお子さんの現在の状況について、ご自身の関わり方を含め何か心の内に不足感のようなあせりをもたれている方も多いのではないでしょうか。周囲のお子さんとつい比べてあせりを感じてしまうというのは一般的な感覚かもしれません。しかし現在のお子さんの状態を成長のプロセスとして「十分に立派なもの」と開き直って思えるならば、不必要な心の波風が立つこともありません。不達成感のストレスを抱えることは避けたいものです。

時には、子どもの成長を振り返る意味で、以前の記録を広げてみることもよいことなのでお勧めします。たとえば教育センターの「うわばきの着脱ができる」「おやつの袋を自分であけることができる」などの幼児期の重点目標を数年後に見てみると、こんなことができなかったんだねと新鮮な気持ちで思い返すことができたり、改めてお子さんの成育過程を大きな視野で認識することができます。

子を持つ親の子育てにおける力の源は、子どもへの情愛そのものでありましょう。誰よりもわが子が可愛いという「絶対」の感情があるからこそ、多くの苦労も乗り越えられます。湧き出るその真情は他人との比較で生じるものではなく、さらにお子さんの存在そのものこそ天地を貫く「絶対」のものです。この侵されることのない子どもの養育には、本来神聖さが伴っているのです。できるならば世間的思いにとらわれ過ぎることなく、常に新たな気持ちで子育てに励んでいくことを心がけたいものです。教育センターもまた親御さんの心に寄り添い、子どもたちが各自の個性をこの社会の中でよりよく発揮できるよう、十全な支援に努めていきたいと思います。 

 

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