新年をよき成長の年に

Heart to Heart15 平成22124日発行

 冬休みも間近になりましたが、教育センターではスタッフと子どもたちのやりとりがにぎやかに聞こえてきます。こうした活動を目の前にしていますと、社会性はもちろんのこと、ことばにしても認知面にしても、「人とのかかわり」が、これらの発達を促し支える大きなポイントになっていることを感じます。

 子どもにとって人とのかかわりにおける基本の場は家庭であり、その中心は親子のかかわりになります。ここでは、親子のかかわりにおける微妙なところを記してみます。

 子どもへの接し方はその発達に応じて変化していくべきものですが、毎日付き合っていてもその発達を把握していくのは簡単ではありません。よくありがちなことは、子どもが自分でやりたいと思っていたりできるようになっていることも、過干渉的に、または子ども扱いをしてやってあげてしまっていることです。

 親の立場にしてみると、時間をかけて本人にさせていくのがよいことはわかっているが、完璧にできないために結局は手がかかるからとか、親から見ればそれはほとんど本人のあそびやいたずらになっているからとか、その理由はいろいろでしょう。

 また本人の成長に気づかず、何気なく手をかけてしまっていることも少なくありません。こうしたときに、意思表示のはっきりしているお子さんだと、抵抗してみたりお母さんの手出しを嫌がって自分でやり始めたりします。

 ただし、ことばが少なく指示待ちの傾向が強いお子さんの場合には、こういうことにはまだ意識が向かない、できないはずという親の思い込みで、本人にさせてみることなく過ぎていることも多いのです。教育センターに通うようになって急にいろいろなことを覚えたりするのは、思った以上に子どもの内面が動いていて、変化の準備ができている状態の表れでもあります。既成概念をもたずにさまざまな教材を提示したときに、本人のアンテナに引っかかってくるものがあるわけです。

 時には、お母さんが手をかけてやってあげているうちに、子どもがその居心地のよさにどっぷり浸かって何でもやってもらわないと気がすまなくなる。いつもお母さんの心を自分に引き付けて、相手を縛るような状態になっていることがあります。お母さんもそれに慣れきって、この密着関係が互いの安定を図るすべになっている。こういうとき、当のお母さんがそうと気づくのはなかなか難しいようです。

 ともあれ、自立の度合いはそのまま本人における自由の度合いを意味します。程度の差はあれ、今できることあるいはもしかしたらできるかもしれないことに思いきって挑戦し、それぞれのお子さんなりの自立を一歩すすめていくように心がけていきたいですね。

話は変わりますが、現在、23年度年度療育プログラム受講の募集中です。現在とちがうプログラム構成になっている曜日もあり、勝手がちがって選択に迷う方もいるかもしれませんが、いろいろなプログラムにトライしてみていただければと思います。初体験のプログラムに、予想していなかったお子さんへの影響などを発見することがあるかと思います。

 来たる年も、子どもたちのよりよい成長を大いにはかっていきたいと思います。保護者の皆さんも、好いことがたくさん集まってくるよう、「必ずすばらしい年になる」と心に定めて、この新年をすがすがしくお迎えください。   

 

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