日々の家庭生活の貴さを思う

Heart to Heart10 平成2137日発行

今年も早や二ヶ月余りが過ぎ、本年度も後わずかとなりました。この一年をふり返ってみた時、4月からのお子さんの成長の様子はいかがだったでしょうか。今年はいろいろなことが身についてとてもよい一年だったという方が多いことを願っていますが、中には反抗心が出てきて素直さがなくなった、きびしい一年だったという方もおられるかもしれません。子どもは、一人ひとりがそれぞれの個性、魂をもち、異なった成長の軌跡をえがきます。その過程には起伏が多く年月とともにさまざまな変容を見せますが、いずれの姿もまた必ずや今後の成長につながるものと思います。

さて、昨年末から新年度療育プログラムの募集を行っておりましたが、皆様には受講のお申し込みをいただきありがとうございました。4月からはまた新たなプログラムを加えながら、クラスの状況に応じて子どもたちに即した学習や諸活動を繰り広げていきたいと思います。保護者の皆様の中には、グループで行うプログラムの場合ですと今度はどんなクラスになるのだろうとか、子どもが適応していけるだろうかなどのお気持ちもあるかと思います。また、子どもたちにしても、ずっと今のクラスでいたいとか、来年はどんな友だちと一緒になるのだろうという思いをもつお子さんもいるかもしれません。友だち意識が出てくることはとても大切なことで、教育センターでは同じグループの仲間を意識させるように工夫して活動を進めています。名前を呼び合うだけの練習がきっかけとなって、心の底に眠っていた友だちへの意識が浮かび上がってくるということもこの子たちにはあったりします。今年もさらに仲間意識を大切にしながら進めていきたいと思います。

また、新年度には教育センターのスタッフによる勉強会を企画しています。これは療育プログラムを受講する保護者の皆様へのサービスとして、年5回無料で実施するものです。どうぞお子さんの家庭教育のために活用してください。私自身もここのところ14ヶ月の孫を預かることがあります。女児ですが何にでも興味を示して、あちらかと思えばこちら、ちょっと目を離すとあちこちの引き出しからものを出してばらまく、椅子に上っては塩をふりまくなど脈絡のない行動力にふり回されます。これとはまた比較にならない保護者の皆さんの日々の育児の大変さが思われます。

 ところで、先月学園の姉妹校であるボストン東スクールの関係者が、発表会見学を兼ねて学園を来訪しました。このたび新校長に就任し初めて学園の教育を見学されたドノバン先生は、小・中学校の発表会に感動したことばとともに「その背景にある日常の愛にあふれた日々こそが、学園の教育と学習の真髄であると私の心に響きました。」と帰国に際してメッセージを残してくださいました。このことばは多くのことを示唆していると感じます。ご家庭においては、日常の生活における家族との、そして子どもとのふれあいの一瞬一瞬が貴いときを創り出しているのではないでしょうか。毎日の地道な生活のひと時というものは、間違いなく自らが築いた人生の一齣であります。どうぞ、本年も、その一齣を輝いたものにするために、一歩ずつしなやかに、そしてたくましく歩んでまいりましょう。  

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