<2006年W杯期間記念号>
【祭りの最中に想う・・・】
サッカーをこよなく愛する皆さん、こんにちは。超久しぶりのコラム執筆です。何と半年振り。いやあいろいろと紆余曲折ありまして・・・。なんていうのは嘘です。単にさぼってました。極わずかの読者の方々、大変申し訳ありませんでした。今年度こそは、月一でがんばりたいと思います。
さて、ワールドカップも決勝トーナメントに突入。ベスト8が出揃いました。盛り上がってますねえ。 しかし。我らが日本代表、負けてしまいましたね・・・。残念です。悔しいです。 ですが、現実を受け入れるしかありません。ただ僕は大会が始まる前から決して楽観視はしてませんでしたので、負けた事実を引きずることはありませんでした。実際プロ化まだ十数年の国がそう簡単には成り上がれるほど甘い世界ではないですからね。ただ、今回は改めて世界との大きな差を見せ付けられ、まだまだ日本サッカー界の真の発展までは時間がかかるだろうという思いが大きくなりました。
世界との差を縮められなかったジーコは、まちがっていたのでしょうか?
もちろん、4年間という年月を請け負った訳ですから、当然責任はありますよね。メディアが連日報じていた彼の批判も正しいところがあると思います。「個」を重視したジーコの方針は今思えば確かに時期尚早であったかも知れません。でも目指すところは決して間違いではなかったと思います。ただジーコが目指すサッカーを実現できるほど、日本の選手達はまだ成熟していなかった。そこを見極められなかったことは、ジーコもまた世界で戦う一国の代表監督としては未熟であったのかもしれないですね(おお、何と偉そうな!神様ジーコを批判してしまいました)。
さて、次期監督にオシム氏をという方向で動いていますが、僕は次期監督を誰がするかというのももちろんですが、今後日本サッカー協会がどうやって将来の発展のためにU−23以下の各カテゴリーを強化していくのかに注目したいと思っています。
今回僕が感じた世界の強豪国との最も大きな差というのは、技術・体力もそうですが、それよりも個々の持つ「メンタリティの強さ」です。この場合の「メンタリティ」は「精神力」という言葉ではなく「人間力」と言った方がいいかもしれません。
今大会が始まる前に、某国営テレビのスペシャル番組で、アンゴラのアクワ、ドイツのバラック、そしてウクライナのシェフチェンコをそれぞれ取り上げ、彼らのW杯にかける強い思いを本人のインタビューを交えて伝えていました。彼らがただ一サッカー選手としてだけでなく、それぞれの国の不幸な情勢や歴史により、自らが置かれた境遇の中でとてつもなく大きなものを背負った一人の人間として、その背負ったもの大きな力に変えた精神状態でこのW杯に臨むのかというところを目の当たりにし、日本人選手にはそんなところあるはずもなく、何となく一抹の不安を感じたのです。しかし、もちろん日本という国の情勢の中で生きている以上、彼らのような「とてつもなく大きなもの」を背負うようなことはまずないことです。したがってそういうものに対抗するためには、「究極の負けず嫌い」になるしかないのかなと思いました。
ところが、いざ大会が始まってみると、日本代表選手の中には(あくまで個人的な見方ですが)、中田英ただ一人しかいなかったような気がします。もちろん、他の選手だって負けることを簡単に受け入れられるような気持ちではなかったと思います。しかし窮地に立ったとき、その「負けたくない気持ち」を全身全霊で表現し、力に変えられた選手はやはりヒデだけだった。彼の「人間力」は、まさしく世界レベルであったと言えるでしょう。
もちろん、世界で勝ち抜くためには、この「人間力」が全てではあるはずはなく、技術・体力の大きな向上が当然必要なことは言うまでもありません。しかし、力が高いレベルで均衡した場合、最後はこの「人間力」がものを言うのではないでしょうか。
例えば、先日のオランダ対ポルトガル戦。4枚のレッドカードと16枚(?)のイエローカードが出てしまった前代未聞のあの1戦です。超荒れたこの試合内容を賞賛するつもりはありません。世界中のサッカー少年達にとって憧れの存在たちがしてはいけない試合だったかもしれません。しかしあの試合では、両国の選手にサッカー少年達を考える余地などは全くなく、互いの崇高なプライドを賭け、凄まじいまでの勝利への執念を終始これでもかというぐらいにぶつけ合い続けてました。まさに「闘い」でしたね。(その闘いに結局は引き込まれ、感動してました。)このような闘いを制したポルトガルの選手達の方は、オランダ選手達よりもわずかに「人間力」で上回ったのではと、僕は思います。
さあ、日本サッカー協会は今回の反省を踏まえ、今後どのような方針で日本サッカー界をリードしていくのでしょうか。楽しみですね。僕も指導者の端くれとして、微力ながら「人間力」のある選手を一人でも育てるべく、日々精進してまいりたいと思います。
そして、我が尊敬するジーコ様、住友金属およびアントラーズ時代を含め、今まで日本サッカー界のためにご尽力いただいたこと、心から感謝申し上げます。ぜひこれからも世界のサッカー界にその名を残していってください。これからも勝手ながら僕の心の師とさせていただきます。
<追記>
各報道機関の方々へ:渋谷で暴れた若者達を、「サポーター」と呼ぶのはやめてください。
武蔵野東中学校サッカー部顧問
岩本 淳二